漢方では、どんな病名がついて来られても、どんな病気でも、どこかの藏器から来ると考えます。
人体は五臓が中心で営まれています。ですから高血圧でもどこかの藏器が弱ったためになるわけです。

その中でも一番多いのは腎臓と肝臓です。
ただ、血圧が高くて肝臓や腎臓が悪いと病院で言われているかというと、それとは別問題です。なぜならこれは西洋医学と東洋医学の考え方の違いです。

例えば肝臓は血液の貯蔵庫だと東洋医学では考えます。そこの血が不足している場合、血虚で血が足らないと説明しますが、それは貧血とは違うのです。貧血は血液の色素などの成分の数値によって判断されますから、肝の血の不足と病院で言われる貧血とは同じではないのです。もちろん病院で貧血と言われていることもありますし、検査をしても言われてないこともあります。

それで、高血圧ですが、暴飲暴食を繰り返し、無理な労働や過剰なセックスをしていた場合、特に男性は腎が弱ります。腎が弱ると体の水分の代謝が悪くなり、熱が体の上部に多くなり、血圧が上がります。こんな時には八味地黄丸がよいです。ただし、食欲はある人です。

イライラしやすく、いつも怒っている人、ストレスが貯まりやすい人は肝の血を不足させて血の流れが悪くなり、血圧が上がります。これには加味逍遥散がよいです。この場合は気分で血圧が上がりやすく、血圧ノイローゼにさえなっている人もいます。

また、肝臓の血液の汚れから血圧が高くなっている人がいます。こんな方には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)という薬を使います。便秘がひどい人には桃核承気湯です。

肝の血が不足して熱が発生した場合、イライラしたり、疲れやすかったりします。
この時には温清飲(うんせいいん)や七物降下湯(しちもつこうかとう)という漢方薬を使います。

胃腸が弱くて食べ過ぎたり下痢しやすい人には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を使います。


病には必ず原因があります。そして必ずどこかの臓が弱って発病します。
それを見分けて治療するのが漢方という伝統医学です。

●漢方の基本や注意などについて連載していきます。ご希望、ご質問など有りましたら何なりとお申し付け下さい。

高血圧について
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