不妊症
出生率の低下が問題になっています。それとともに、赤ちゃんを望んでもなかなか出来ないご夫婦もかなりいらっしゃいます。また最近は、二人目がなかなか出来ない不妊の方もいらっしゃいます。
どうして不妊になるのでしょう。どんなタイプの人が不妊になっているか分けることで考えてみます。
不妊のタイプには大きく分けて三つあります。


一つは血が足らなくて冷えやすいタイプ
子宮は肝臓と深い関係があると漢方では考えます。その肝蔵の血が不足して子宮に潤いが無くて冷えている人です。
このタイプの人は元々夫婦生活が苦手です。疲れやすく、無理をしたり、睡眠不足をするとしんどくて活動が出来ません。精神的にも動揺しやすく、疲れると鬱になったり、人に遇うのもイヤになります。不妊症になるのはこのタイプの人が最も多いと思います。
肝の血が不足していますから当帰という薬草で肝の血を増やします。
漢方薬では温経湯(うんけいとう)を使います。このタイプの人は体を冷やさないように、無理をしないように、疲れたらすぐ休むようにします。
食事としては肉や魚を充分食べることです。不思議なことにこのタイプの人は一様に肉類が嫌いです。野菜を中心な食事にしていて悪くはない
のですが、これではパワーが付きません。妊娠出産は、神聖ものですが、大変な過酷労働のような所がありますから、血を増やして力を付ける
必要があります。

二つめのタイプは、血が不足して体内に熱が発生している状態で、イライラしやすい人です。元々は妊娠しやすいのですが、何らかの影響で
疲れています。この人にも当帰を使いますが、当帰芍薬散、加味逍遥散など、症状によって数種類を使い分けます。

三つめは肝の血液が渋滞を起こすタイプの人です。このタイプの人は体が頑固でなかなか妊娠しません。漢方用語で悪血(おけつ)とか
肝実(かんじつ)と、言います。怒りたいのに我慢していたり、過去に交通事故や転落事故を起こしたことがある人にもいます。便秘する人が多く、
このタイプの人には肉類は良くありません。野菜をしっかり食べてしっかりと体を動かす必要があります。鍼灸も併用した方が良いでしょう
薬草では桃の種や牡丹の根っこなどを使い、漢方薬では、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを使います。

このほかに、胃腸が弱いのに食べ過ぎている人もいます。食べ過ぎの人や胃腸が弱い人には半夏瀉心湯や六君子湯を使います。
人はそれぞれ違いますので、その人に合った漢方薬を飲むと妊娠しやすくなり、また人工受精や体外受精も成功しやすくなります。

●漢方の基本や注意などについて連載していきます。ご希望、ご質問など有りましたら何なりとお申し付け下さい。

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