脳卒中(脳梗塞)
脳梗塞とは、別名を脳軟化症(のうなんかしょう)と呼ばれ、簡単に言うと、脳を栄養する血管が詰まったりして、 酸素不足や栄養の不足になり死んでしまい、麻痺などの後遺症が残る病気。また、それによる諸症状も脳梗塞と呼ばれる事があり、 なかでも、症状が激烈で(片麻痺、意識障害、失語など)突然に発症したものは、他の原因によるものも含め、一般に脳卒中と呼ばれます。 それに対して、緩徐に進行して認知症などの形をとるものもあるそうです。


ここでは、漢方ではどう考えるか、ということについて書いてみます。

脳というところは、骨で覆われています。骨は腎臓が管理しています。また、心臓と腎臓は常に交流していて心臓の陽気が腎臓に降りてきています。そうして心臓の陽気は腎に蓄えられます。 その蓄えられるところは骨、つまり脳だと思われます。

陽気というのは体を動かし活動できるエネルギーです。つまり脳というところは、人間が生きていくために必要な活動エネルギーが豊富につまっているところです。その陽気というエネルギーが不足したり、多くなり過ぎて組織が壊れたりして脳卒中になると考えられます。不足して詰まったり出血したりして、結果として、血液の不足と陽気の不足、或いは過剰を起こすので、その不足を補ったり、 余分な熱を取り去ることが漢方薬の治療になります。

代表的な処方でいうと、続命湯(ぞくめいとう)という薬があります。これは少し熱が多い人の薬で、血が不足して冷えている人に使うと命の危険があります。脳卒中は非常に危険な状態ですから、漢方薬といえども、飲む薬を間違えれば、確実に悪化します。昔の人たちも脳卒中の治療には苦労をしたようで、 続命湯の加減法は数え切れないくらい有ります。脳卒中という病気は数千年前の昔から有ったようで、世界最古の医学書にも載っています。

脳卒中の後遺症などに使う漢方薬では、最近では牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)が有名で、和剤局方(わざいきょくほう)という本に出てくるのですが、 その原典は金匱要略(きんきようりゃく)の薯蕷丸(しょよがん)だと考えられます。つまり、最初の牛黄清心丸は、薯蕷丸に牛黄(ごおう)、麝香(じゃこう)、羚羊角(れいようかく)など、脳の働きを良くする動物生薬などを加えたものです。 ただし、これは中国で販売されている処方で、日本で販売されている牛黄清心丸はこれを更に改良してやさしくしてあります。ただ、価格が高いのが難点です。 これは中に入っている牛黄、羚羊角、金箔が元々高価なためですが、脳卒中になった人が元気になるためには、牛黄は入っていなくても効きます。そして元々の牛黄清心丸の中に最も多く入っている生薬は大棗、つまり、ナツメです。これは漢方薬局でも中国物産店でも手に入ります。良く茹でて皮をむいてから食べて下さい。種は堅いので吐き出します。1日3ケくらいが良いでしょう。山薬も牛黄清心丸の主薬の一つです。これはヤマイモとほとんど同じですので、ヤマイモを調理して食べるのも良いです。黒大豆の萌やしも食べて下さい。 これも牛黄清心丸に入っています。普通のモヤシで良いです。炒めて食べましょう。

中国ではナマコが脳に効くといわれています。干したものを水で戻して加熱して食べるのですが、中国でも日本産が最も高級品です。手に入る方は食べて下さい。漢方薬局などで手に入るようでしたら当帰という生薬を買ってきて煎じて飲むと良いです。ただし、売ってもらえないかもしれません。どちらにしても元々漢方薬は薬ですから、専門の医師や薬剤師、登録販売者、鍼灸師などに相談しながらされた方が良いです。 そんなに高いお金を払わなくても出来る方法もあるということです。
ページのトップへ戻る

●漢方の基本や注意などについて連載していきます。ご希望、ご質問など有りましたら何なりとお申し付け下さい。