婦人の病
立秋もとうに過ぎたのに暑い日が続きます。
人間の都合にばかり合わせた生活をしていると、いつか人間の子孫にも大きな影響を与えてしまうのかもしれません。今回から数回にかけて婦人の病についてお話ししようと思います。


一般に男性より女性の方が早く成長します。世界最古の医学書の素問にもそのことが書いてあります。「男性は8の倍数で成長し、女性は7の倍数で成長する。」と、つまり、女性の方が1年ずつ早く成長するんですね。小さい頃は男性より女性の方が元気で丈夫ですよね。男の子はすぐに風邪など引いて病気をします。男性は髄液を貯めながら成長し、女性は血液を貯めながら成長する傾向があるのと関係があるのかもしれません。

ところで、女性には子供を産むために子宮が付いていて男性にはありません。これが大きな違いです。漢方、つまり
中国伝統医学では、子宮は肝臓が管理すると考えます

たとえば、肝臓に熱が多くなるとイライラしやすくなります。イライラしたり怒ってばかりいると、子宮にも熱が多くなって汚れが溜まってきます。汚れが溜まってくると生理不順を起こしたり生理痛も起こってきます。鬱になる人もあります。そしてその汚れはやがて頭に上って行きます。酒も飲まないのに肝臓が悪くなる女性がおられるのもこのためです。
したがって女性の病気には肝臓関係の病気が非常に多いことになります。
ただし、病院の検査で肝臓が悪いのとは違います。物の見方が違うからです。
これらは、肝臓の血が足らなくなって熱を持つか、冷えるか、血が汚れて詰まるかの三種類に分けられます。


1.肝臓の血が足らなくなって熱が多くなると、イライラしやすくなり、寝付きも悪くなります。夢が多く睡った気がしません。便秘がちになります。更年期障害、生理不順、肩こり、頭痛も起きやすくなります。漢方薬では加味逍遥散(かみしょうようさん)がよく効きます。


2.肝臓の血が不足して冷えてくると、活動力が無くなります。ひどくなると、人に逢うのもイヤになります。また、生理中に下痢をするようになり、激しい生理痛を起こしやすくなります。何事もやる気になれず、家事も夫婦生活もイヤになります。食欲はあまり有りませんが、食べないとしんどいので食べています。食べ始めると普通に食べられます。こんな方によい漢方薬は温経湯(うんけいとう)や当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)です。不妊症にも使われます。


3.肝臓の血が汚れて来る場合です。こうなると大なり小なり鬱の傾向があり、気分が落ち込みやすくなります。食欲は割と旺盛ですが、便秘します。いつも不安感がつきまといます。不眠症もあります。こんな場合には柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)や血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)が良いです。


あなたはこの三つのどのタイプですか?
漢方薬を飲んでみようと思う場合は、微妙な個人差もありますので、専門の病院や薬局・薬店で御相談ください。
ページのトップへ戻る

●漢方の基本や注意などについて連載していきます。ご希望、ご質問など有りましたら何なりとお申し付け下さい。