キクラゲ

 最近キノコ類について漢方の薬物専門書を調べています。しかし、昔の漢方の薬物書にキノコ類の効き目の説明はあるけれど、飲み方が書いてない物が多いのです。それは昔からキノコ類は煮たり焼いたりして食べるのが普通であるからのようです。つまりアガリクスのように煎じた後でその煎じ滓を料理に使ったり、そのまま食べるのは理に適っています。つまり煎じ滓の中にも大事な成分が残っているのです。もちろん煎じた液にも吸収しやすい有効な成分があるので両方いただくのが一番良い飲み方です。
 
今回は木耳について説明しよう。木耳とは、キクラゲのことでいろんな木に生え、その木の種類によって性質が異なります。その中でも桑の根に生えるのが一番良いそうです。

古典によると、「悪い虫や蛇が生えているキクラゲの下を通い過ぎたものには毒がある。」とか、「カエデの木の上に生えた物は食べると人が笑って止まらなくなる。採って帰った時に変色しているキクラゲ、夜中に光るキクラゲ、腐りかけても虫が付かないキクラゲには毒がある」そうです。

漢方薬でもそうですがよく虫が付きます。放置しておいても虫が付かない生薬は農薬がかかっているのでは?と心配になってしまいます。

キクラゲの働きですが、「気を益し、飢えず、身を軽くし、志を強くする。穀を断ち、痔を治す。」とあります。つまりキクラゲを食べると、肺の働きを良くして飢えにくくなり、体が軽くなって腎臓を強くして痔を治します。中医学(中国の医学)では肺の働きを良くして滋養強壮剤として食べています。
その一つを紹介します。

キクラゲ3〜9gを水で洗って冷水に1〜3時間浸け、弱火で煮る。
甘い物が好きな人や肺が乾燥して咳が出ている人にはキクラゲを氷砂糖と一緒に弱火で煮て食べ、辛い物好きの人には豚肉の赤味か鶏肉といっしょに弱火で煮て食べます。霊芝やナツメの実などと煮て食べても美味しいです。ただ霊芝と煮ると苦くなります。どうぞお試し下さい。

(2011年4月)

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