花粉症と漢方

なぜ花粉症になるのでしょう?春のこの時期になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに苦しむ人が増えていきます。
なぜ鼻水が出るのでしょう?春に吹く風や黄砂の影響もあると言われています。
漢方では胃に水が停滞してそれが鼻にのぼると考えます。

その年によって花粉症になる人が多くなったり少なくなったりするのはなぜ?
それはその年の冬の気候にも因ります。

冬は本来あまり活動せずにじっとしている方が体の体液が保たれて、春になったときに活動し安くなります。
冬に冬眠しているくらいの方が春に元気なのです。しかし、冬が暖かいと人はよく活動します。
寒ければ外には出たくないものですが、温かいと外に出て動きます。
特に激しい運動や冷たい風にあたっていると春に何らかの病変を起こします。下痢、湿疹、倦怠感、鼻炎などです。はしか等の皮膚病も冬に無理をして冷たい風に中たり春の陽気と共に発生し安くなります。

人は冬の貯蔵した体液(血も含む)の力によって春に活動を始めます。しかし、冬の体力の消耗が激しいと、春に活動しにくくなります。そうすると体の生理機能もにぶり、本来下にさがるはずの水の一部が逆流して上にあがります。それが鼻に貯まるのです。花粉やほこりがいくら飛んでも鼻炎にならない人がいます。それはもともと内臓が丈夫な人か、冬に無理をしなかった人なのです。

それでは、鼻炎になったらどうするか、まず、冷たい飲み物は止めましょう。冷たい缶ジュースはすぐに手に入ります。それを飲むと、ますます症状が悪くなります。のどが渇いたら温かい物を飲んでゆっくり運動して発散しやすくしてやります。
冬とは違い、内に籠(こ)もるのは今度は良くないのです。
ゆっくり庭を散歩する気持ちでゆったりしてやります。
服やネクタイなどをきつく締めるのはこの春の時期には禁物です。少し緩めて怒らないように、人をほめるようにしましょう。
これが春の養生の基本です。




花粉症に使う漢方薬

今回は花粉症に使う漢方薬についてお話しします。
鼻炎に使う漢方薬はたくさん種類があるのですが、体質などにより飲む薬が違います。
今回は体質別に分けてみましょう。
     
1)毛深い体質の人、鼻の穴が顔に比べて割と大きく、胸毛があるような人は、葛根湯という薬が合いやすいです。これは肺虚体質といいますが、運動していた方が体調がよい人です。運動不足になると鬱的になりやすい人です。胃腸は弱くなくて、下痢してしんどくなることはありません。葛根湯で効きにくければ小青龍湯で良くなりやすいです。このタイプの人は自分が動いていた方がよい人です

2)胃腸が弱く、下痢しやすくて、くちびるや口が大きすぎたり、小さい人は、半夏瀉心湯という薬が合いやすい人です。これは胃腸が弱く、胃腸の働きが悪いために花粉症になりやすく、食欲にムラがある人が多いです。
ゲップが出たり、お腹がグルグル鳴ったり、食べ過ぎるとすぐに胃がつかえて動けなくなります。

3)目が切れ長、目が大きかったり、目が小さすぎる人は、血が不足しやすい人で、この体質の人はイライラしやすく、何事もきちんと片付けないと気に入らない人です。人のやっていることまで気に入らなくなることが有ります。この体質の人は耳にも特徴があって耳の中輪が突出していることがあります。この体質の人は加味逍遥散という薬が合います。疲れて、動くのもしんどくなれば、当帰建中湯という漢方薬が良いです。

4)顔に比べて耳が小さい人は恐れやすく、瞬発力はあっても持久力がありません。気を使うとぐったり疲れてしまいます。こんな人は柴胡桂枝乾姜湯という漢方薬が良いです。
反対に顔に比べて耳が大きい人は腎が大きくて無理が利く人ですが、そのために無理をして病気になったり鼻炎になったりします。スポーツ選手で大成している人にこのタイプがいます。


代表的な漢方薬の症状を整理すると、

1.葛根湯 
  肩が凝る。鼻が詰まる。胃はじょうぶ。下痢してもしんどくない。冷たい物を飲むと下痢してさっぱりする。
  痔があることがある。

2.小青龍湯
  鼻炎の代表的な処方 胃はじょうぶ。胃がポチャポチャいう。冷たい風に中たると咳が出ることがある。

3.半夏瀉心湯
  胃腸が弱く下痢しやすい人の鼻炎の代表的処方。

4.当帰建中湯
  しんどい。疲れやすい。食慾無いが食べたら食べられる。

色々と処方名を出すと迷いやすいので、まずはこの辺りで試してみて下さい。

お近くの漢方薬局で3日から7日服薬すれば、何らかの変化が出るはずです。何にも変化がなかったり、胃が悪くなったり、症状が悪くなったりすれば、それはその漢方薬があなたの体に合っていないと言うことです。漢方薬は体に合うものを飲めば必ず効きます。ご自分の体に合うものを捜してみて下さい。
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