インフルエンザと漢方薬


インフルエンザが問題になっています。
インフルエンザに効く漢方薬は無いものでしょうか。また、予防できる方法は無いものでしょうか?


漢方薬の傷寒論という古い書物の序文に興味深い文章があります。それは、
「我が一族は以前は200人以上も居た。それから10年も経っていないのに、そのうち140人も死んでしまった。そして傷寒という急性熱病から死んだ人はそのうちの七割だ。過ぎ去った昔に死んだ人のことを思い、天寿を全うできずに死んだ若い人のことを助けられなかったことに心を痛めた。だから今まである先輩方が経験を積まれた伝統医療からいろいろと集め、それをもとにして傷寒雑病論という本を作りました。この本ですべての病気が直せるとは思わないが、この本を基本にして病気を診察すれば、病気の本当の原理がわかり、素晴らしい治療が出来ることでしょう。」

と書いてあるのですが、傷寒というのは冷えることによって成る病気です。つまり当時起きた流行の風邪のような病気で一族の大半が死んでしまったから、それを防ぐために傷寒論という本を書いたというのです。風邪のような病気で、人が死んでしまうほどのものとは何でしょうか。当時インフルエンザが流行った可能性があるのです。そして、傷寒論に書いてある処方全てが風邪の様な病気に効く可能性を秘めているのです。


傷寒論には、現代でも風邪などの治療に使われる葛根湯や小柴胡湯などが書いてある本です。ただし、この本には300くらいの処方が書いてあって石膏や附子などの入った大青竜湯や附子湯など、作用の激しい薬も書いてありますから、よく研究している医師や薬剤師などに相談しないと危険です。漢方薬といえども薬です。体に合わなければ副作用が出ます。また、小建中湯や人参湯、半夏瀉心湯など、作用が穏やかでも状態に応じて飲めば、風邪薬としてよく効く薬もあります。それを理解できている人に相談するのが良いでしょう。


先日中国のテレビで放送していたのですが、
健康な人のインフルエンザの予防に葛根、黄ゴン、甘草、カッコウ、ヨクイニンを煎じて飲むと良い。
虚弱な体質の人には、黄耆、防風、白朮、金銀花、甘草を煎じて飲むと良い。
アンズ、桑の葉、菊の花、枇杷の葉、葛の根桔梗の根、連翹、金銀花、芦の根、ヨクイニン大青葉も良い、とのことでした。

しかし、これは漢方薬の使い方をよく知り、漢方薬を通常の生活に取り入れるのが常識である中国人に対してのもので、中国人より敏感な日本人には問題があります。

そもそも漢方薬はその人の体質によって効く薬が違います。合う処方を飲まないと効かないので、やはり、漢方薬の専門の病院や漢方薬局で相談した方が良いでしょう。
ただし、予防的にカンゾウの根やクズの根、ショウガや白ネギを煎じて飲むのは良いと思います。生の生姜(ショウガ)を料理に使いましょう。スーパーで売っているひねしょうがが良いです。練りショウガは干したショウガから作っているので少し違います。


基本的には、うがい、手洗い、マスクが大切ですが、今は夏です。胸に熱が多くなりやすいので、充分に汗をかくことです。汗をかいて水分を補給し、汗をかいた後はタオルで体をよく拭きましょう。
秋から冬になれば、加湿器やストーブで湯を沸かして水蒸気でウイルス対策をするのも良いと思います。お湯を沸かす時は酢を入れて沸かすと、もっと良いです。酢の臭いがしますが、すぐになれます。酢には殺菌作用があるからです。

●漢方の基本や注意などについて連載していきます。ご希望、ご質問など有りましたら何なりとお申し付け下さい。

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